2015年11月6日金曜日

2015.9下旬 裏銀座縦走 3日目:双六小屋〜槍ヶ岳〜徳沢園







3日目 
双六小屋4:13→7:30千丈乗越→8:25槍ヶ岳山荘8:53→10:42槍ヶ岳10:58→11:17槍ヶ岳山荘11:48→14:21槍沢ロッヂ→16:28徳沢



ぱらぱらぱらぱら水滴が顔に当たっていて結露か雨だとは思いつつ面倒なので無視していたけど、腹を減らした猫並みのしつこさに根負けして起き出してみたら、ストックを蹴ってしまったらしくツェルトが倒れていた。密閉状態になるとすぐ結露してしまう。

ツェルトを建て直して寝袋に入ったが、起き出す予定の2時半迄あと1時間くらいなので、二度寝はせずじっと横になっていた。
2時間くらいしか寝れなかったなあ・・・。 でも毎度の事なのでそんなに気にはならない。この3日間の合計睡眠時間は10時間くらいだけど、日中眠くなることもなく快調に過ごせている。短いけど深く寝てるんだろう、たぶん。

横になってるのにも飽きてきたので、起きてぼちぼち支度を始めることにした。
片付けをしつつ、アルファ米にレトルトのほうれん草スープとアタリメを入れてお湯を注いでおき、コーヒーを飲む。
昨夜はガスが出てたけど、今、空には星が見えている。
食事を済ませ、びしょびしょのツェルトをビニールにくるんでザックへ詰めこむ。

松本駅以来うんこが出てなくて、朝食後しばらく様子を見ていたが全然もよおしてこない。
今日は稜線歩きだからキジ打ちは避けたいなと思っていたが、まあしょうがないので出発することにした。
4:13出発。

もう結構歩き出してる人がいて、樅沢岳へも双六岳へもライトの明かりがポツポツと見える。
すぐにバラバラになったけど、最初のほうは3人くらい一緒に歩いていた。

気温は3度くらい。飛騨側からの風が強いので、雨具のジッパーを喉元まできっちり締めてフードをかぶる。

結構急な道を樅沢岳目指して登っていく。寒い〜

4:45 樅沢岳
真っ暗な中少し迷ったりもしたが思ったより早くピークに着いた。
ここから左に曲がり、斜面をトラバースして下っていき、少し登ってまたガレ場を下る。
いったいここはどんな所なんだろうと気になる。また明るい時に歩いてみたい。


5時を過ぎると遠くに夜明けの兆しが見えてくる。不安感や寂しさが大半を占める暗闇歩きの独特な感触も、もうすぐ霧散していってしまう。



無事キジ打ちを果たし、5:31硫黄乗越。




千丈乗越に近づくにつれ岩がちになってくる。
鎖がかかった所も結構あるけど、念のために着けとくかみたいな鎖で、掴まって登るような箇所は無かった。

千丈乗越はたくさん人が休憩してたのでそのまま通り過ぎる。ここから槍ヶ岳の肩まで、特に後半はきつい登りだった。

千丈乗越を超えて振り返る。
人がたくさんいる辺りが乗越。

笠ヶ岳方面はずっと雲が取れなかった。

だんだん斜度が上がってきてかなりきつい。でもあと少しだ。

シルバーウィークの穂先の渋滞がどれくらいなのか見当がつかなかったのと初めて歩くコースなのとで、昭文社のコースタイムを参考に、肩まで6時間、穂先往復に4時間、食事やトイレなどで1時間ほどと大雑把に考えていて、この日は肩に建っている槍ヶ岳山荘のテン場に泊まるつもりだった。
でも、これまですれ違う人達に聞いたところによると山頂往復には4時間なんてかからず、だいたい2時間ちょっとらしい。今8時少し過ぎたくらいで思ってたより早く来てるので、槍ヶ岳山荘には泊まらず先に進もうかという気が出てきていた。まあ槍の穂先にどれくらいかかるかだ。
きついので気分転換にちょこちょこ立ち止まって写真を撮る。あのとんがってるのは水晶岳か? 立派なランドマークだ。鷲羽岳がちょっとしょぼく見える。見る角度でほんと印象が変わるなぁ。

西鎌尾根がだいぶ下に見えるようになった。もう少し。


8:25 肩に乗った。

あ~並んでるなぁ。

槍ヶ岳山荘はまだテントの空きがありそうだったが(当たり前か)受付は見送って、とりあえず食堂に入ってカップ麺を食べた。マフィンも行動食用に2個購入。これはじっと座って食べるのはいいけど、紙のカップにマフィンがくっつくので、歩きながらだと食べづらかった。


8:47時点ではこの青空。でも1時間後ぐらいからガスが覆いだしたから、この時間に登った人はラッキーだった。

トイレを済まし、山荘前から列を見るとさっきより少し短くなっている。よし!
どこに泊まるか考えるのは後回しにして、500mlのボトルと財布をポケットに入れ、長Tの上にウインドブレーカーを羽織り列へ並んだ。8時53分。

この最後尾に並んで往復2時間24分かかった。




少し動いて長く止まるを繰り返す。写真を撮るくらいしかやることが無い。あとはたまに近くの人と話したり。
でも着実に頂上には近づいているし、まあこの眺めを楽しむしかない。

一番心惹かれたのが槍沢方面の景色。

9:53 並び始めて1時間後の風景


10時を過ぎる頃、小槍が見える側に回り込んだあたりでガスが覆いだしてすごく寒くなった。もう一枚長袖を着てカッパを羽織ってくるべきだったと後悔したが、ちょっと戻ってというわけにもいかないので体を揺すったりして耐える。
結果的に降らなかったから良かったけどこれは失敗だった。雨が降ってきたらもう降りるしかないところだった。


10:39 ようやく最後の2つのはしごの直下に来た。
一つのはしごを登りきった後、下で待ってる人にいいですよと声を掛け順番に登る。
ここまでは怖いと感じる所も手こずる所もなく、これなら先週登った県界尾根の方が厳しかったよなあと思っていたけど、この最後の2つのはしごで逆転。高度感があって緊張した。

 10:43ようやく山頂へ。

はしごを登り切ると祠への列に並ぶ形になる。で、順番に写真を撮ったら、今度は頂上から降りるはしごへの列に並ぶ形になる。へーこんな仕組みになってんだと感心した。僕はそばにいた人に看板を抱えた姿を撮ってもらった。

さっきよりガスが取れていて少し晴れ間も見えている。ピーカンとはいかないが悪くない。

10:58 下山。前に並んでた人が、はしごの最初の一歩が怖いと言っていたが、そんなに気にならなかった。
手と足を動かすたびに、心の中で右足、右手と呟きつつ降りていく。僕は高所恐怖症だけどこれをやると恐怖心が湧く事が無い。

16分山頂にいたことになるけどそんな長くいたかな?って後で思った。祠の所までぐるっと行って戻ってきただけであっという間だなと思っていたけど。



11:17 槍ヶ岳山荘に戻る。
登り1:49、滞在16分、下り19分。下りは早かった。

トイレに行って、ベンチに座り地図を眺め考える。山荘の玄関前に、テン場がいっぱいになったと看板が出ている。
ここで下山地を新穂高から上高地に変更することにした。新穂高方面だと槍平小屋しか選択肢が無いけど上高地方面ならいくつもテン場があるし雰囲気も明るい。ババ平かうまくいけば横尾まで行って、明日朝はのんびり上高地までの散歩にしようと決めた。うん、いい考えだ。

11:48出発。
続々と人が登ってくる。みんな同じようにきつそうな表情だ。

後ろを振り返るたびに穂先が遠くなっていく。


もう振り返っても見えなくなってしまった。ちょっと寂しい。



昨日野口五郎へ歩いてる時も、今朝の西鎌尾根でも、今も、頭の中でゆらゆら帝国のなんとなく夢をという曲が鳴っている。
山を歩いていて頭の中に音楽が流れてくることは良くあって、下山したら聞かなきゃと思うんだけど、後になったら何を聞きたかったっけ?と忘れてることが大半だ。
ウォークマンは持ってるけど下山まで仕舞ってるので、思い出せたら帰りの電車でこの曲を聞こう。

13:54 ババ平。
ここで水を汲んで少しだけ休憩。
ここに来るまでに、徳沢まで行こうと考えが決まっていた。昭文社のコースタイム通り歩いたとしても17時には着けそうだし、これまでコースタイムより早めに歩けてるのでたぶん17時前には着くだろう。
小梨平まで行こうかと一瞬思ったが、あそこまで行ってしまうと、楽しみにしていた早朝の上高地歩きが短くなるので却下。

14:21 槍沢ロッヂ通過。いきなりにぎやかな場所に出て虚を突かれる。遅れて飲み会に入ったときみたいな。
売店に寄ろうかとちらっと思ったけど、にぎやかさに気後れしてそのまま通過。


槍沢を右に見ながらの気持ちいい道。沢があふれやすそうなところは簡易的な堤防が作ってあった。


15:32 横尾。ここもにぎやか過ぎて通過。


16:28徳沢園。歩き足りない気持ちもあるけど今日はここまで。
外から見てるとそう思わなかったが、受付に入って雰囲気の良さに驚く。もう山小屋じゃなく歴史あるリゾートホテルだ(元々そうか?)。
受付でテント代700円を払い、バスの時刻表を見せてもらう。上高地に朝から入れる風呂はあるか訊ねると、聞いたことが無いという。新穂高に下りるつもりだったのでこっちの事は全然調べてこなかった。
夕食を食べれるか聞くと、食堂で17時までに受付してくれとのことなので、ツェルトを張る前に食堂へ行った。岩魚定食とおでん定食から選べて、せっかくなので岩魚定食1600円を注文して小屋前のテント場へ向かう。

テン場は元牧場だったという広い芝生の平地で、すでにテントがたくさん張ってあるので僕は端っこに設置。
ビールを飲んで周りの人達と話したりしてるうちに、食事の時間になったので食堂へ向かう。同席の人達と、今回歩いたコースの話しやこれまでの山行の話しなどしながら和やかな雰囲気の中でゆっくり夕食を食べる。こういう交流も楽しみのひとつで、今回も毎日何かしら出会いがあった。

ツェルトに戻って横になると今日見た景色が次々浮かんでくる。めくるめく1日だった。。。 
冷たい風が吹く夜明け前のガレ場から、見渡す限りの岩の風景の中を通って、今この芝生の上にいる事が心の中でうまく繋がらない。不思議な気分だ。




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