2018年10月3日水曜日

2018.08中旬 薬師岳 - 五色ヶ原 - 黒部ダム 2日目 : 薬師峠 - 五色ヶ原 その1







薬師峠 3:28
薬師岳 5:43 - 6:01
北薬師岳 6:54 - 7:09
間山 8:36 - 8:46
スゴ乗越小屋 9:38 - 10:18
スゴ乗越 10:56
スゴノ頭 11:44 - 11:46
越中沢岳 13:26 - 13:44
鳶山 15:35
五色ヶ原山荘 16:05

行動時間:12時間37分 歩行時間:10時間39分
最大標高差:792.6m 累積標高:登り 1568.9m、下り 1392.9m 登降含む距離:16.221km

きつかった。最大標高差や累積標高はたいしたことない数値だけど、スゴ乗越から先の連続する急登に打ちのめされた。



2時起床。まずトイレを済ませ、歯を磨く。
朝起きてまず歯を磨くというのは数年前から習慣になっていて、これはどこの山小屋だったかは思い出せないがテントをたたんで出発前トイレに寄った時耳にした、「起きたらまず歯ぁ磨かないと気持ち悪いねん、嫌やねん、なんか嫌やねん」と、何度も同じことを不必要に大きい声で繰り返すおばちゃんの言葉に、あっそうかもと思ったのが悔しいけど最初のきっかけだった。

おばちゃんにちょっとイラッとしたのもあってか、その時はそうかもと思っただけで実行するまでに至らなかったが、ある日図書館で借りた、歯医者が書いた歯の話みたいなタイトルの本に、起きたらまず歯を磨きなさいということが科学的根拠を交えながら何十ページか何百ページだかに渡って書かれているのを読んでふーんと思い、おばちゃんの声を思い出しつつも試しにやってみることにし、その後の検診結果も良好なので今も続けている。


まあそれはいいとして、そのあと水を飲もうと外に出しっぱなしのペットボトルを傾けるとシャリシャリと氷が出てくる!?
えっ? と思い温度計を見ると0.6度くらい。そういえば寒気が入るとか天気予報に書いてあったような気がする。体感的にはそんなに寒く感じないけどなぁ。
上は半袖、長袖、ウィンドブレーカー、インナーダウン。下はタイツにズボンで、寒さを感じないわけではないが、重ね着する感じでもなかった。

撤収を終え、チキンライスか何かのアルファ米を半分ちょっと食べ、コーヒーを飲み干し、ダウンだけ脱いで出発。3:28。
この時のアルファ米の残りを朝食として薬師岳あたりで食べようと思っていたけど結局食べず終いで、この日は行動食とスゴ乗越小屋のカップラーメンだけで済ませてしまった。
後半腹がぐーぐー鳴っていたのに面倒臭がって行動食でお茶を濁したのもバテた要因だろう。


まずは沢に沿って付けられた道を登っていく。暗闇に響く沢の音が苦手だ。明るいときは平気なんだけど(みんなそうか?)。
音が大きくなると怖くなり、離れていくとほっとするということを繰り返しながら、岩に書かれた矢印を見落とさないよう慎重に進んで行くと、やがて右にトラバースする枯れ沢の道となる。それが木道に変わると薬師平という穏やかな草原の平坦地だ。

薬師平で南から上がってくる尾根に乗り、樹木が途切れ視界の開けた道をえっちら登るうち徐々に明るくなってきた。
灯りなしでギリ歩けるかなというあたりでライトを消す。刻々と変化する貴重な夜明けの時間をできるだけそのまま感じたい。






避難小屋の建つ稜線上には日の出を拝む人たちが大勢見える。
ここで上に上がってもいいが、どっちみち2分くらい先で稜線の道と合流するのでそのまま進む。


稜線に出るともうけっこう陽が昇っていてちょっと悔しかった。
あと20分早くテン場を出ればよかったかな?


朝の光の力って偉大だ。これからいいことしか起こらないような気がする。


5:43 薬師岳到着。なぜかひとりじめ。

 



10分くらい一人きりだったがさすがにだんだん賑わってきた。
これから歩く未知の稜線への期待に気持ちが高まる。さあ行くか。




金作谷カールの縁に立つ。
ずっと奥まで後立山の稜線が続いている。あれが鹿島槍であれが五竜で白馬はあれか……?
今日の目的地である五色ヶ原も左にちらりと見えていて、なぁんだ近いじゃないかとこの時は思ってたけど……。


一番好きな朝の時間帯にお目当だった稜線を歩けて、この時は気持ちが高揚してたなぁと思う。
うきうきで楽観的で、この後の苦しみを知るよしもなかった。でもそれでいいのだ。


西側の殺伐としたガレと違い、稜線の東側にはチングルマと、名前を知らない終わりかけの黄色い花が多く見られた。


薬師岳以降は岩が積み重なっていて歩きにくいところが多い。

2年前赤牛岳辺りで膝を痛めた時、その後の行程が非常につらかったのと下山後も痛みが長引いたことから、膝痛を発症させることなく五色ヶ原へ着くことがこの日の大きな目標だった。目的の一つと言ってもいいかもしれない。

前回は水晶岳から赤牛岳への岩の多い長い道をぞんざいに歩いてしまい、気づかぬうちに衝撃が蓄積し発症してしまったので、今回は最初から歩幅を狭くし、ストックをできるだけ使って力を分散することを意識するようにしていた。到着が遅くなってもいい、ビバークになってもいい、丁寧に歩こうと何度も自分に言い聞かせた。
発症させると当然それからがとても辛いし、治るのに時間もかかってしまう。歯と一緒で予防が大事だ。




6:54 北薬師岳到着。コースタイム30分のところ53分かかっていてびっくりした。
でもこのペースだ!


北薬師岳のまん前に赤牛岳が見えていて、左下の方に草原みたいな場所が見える。

これが薬師見平か。赤牛岳から尾根を下って行けそうに見えるけど藪がひどそう。

出発時タイツを脱ぐのを忘れていて暑苦しくてしょうがなかったが、人影がなかったのでここで急いで脱いだ。やっとスッとした。準備万端だ。
15分滞在の後出発。


秋の空だな


ハイマツの先の真ん中あたりにぽこっとある可愛い盛り上がりが間山。名前のとおり目立つ山の間に挟まれた、丸っとして可愛いピークだ。
写真だと分からないが、山頂には猫の目のように小さく澄んだ色の池も見えていてなかなか良さそうなところに思えた。遠くから見る池はいつもいい感じに見える。

間山の向こうが、後で地獄を見ることになるスゴの頭から越中沢岳で、越中沢岳の先には五色ヶ原の平原の広がりが伺える。
こう見るとスゴの頭も越中沢岳も何てことがないように見えるんだけど。


 雷鳥さん発見。三羽写ってるけどわかりにくいか。お母さん一羽に子供が二羽。



間山付近はのんびりした感じで歩いていて気持ち良かった。この日一番のやすらぎ区間だったかもしれない。


8:36 間山到着。ここで10分休憩。右の茂みに隠れて池がある。


ちょっと下ったところにも池があった。
間山付近に昔テント場があったと何かで読んだが、あの池のあたりかもしれない。


結構下るな……。


スゴ乗越小屋に近づくにつれ樹木の背が高くなり、密生度も上がり、湿気も多くなってきた。道が泥濘になっているところもある。
あんな上から見降ろしていた越中沢岳が今や見上げるまでになっていて癪にさわるが、まだこの時は楽観的だった。


9:38 スゴ乗越小屋到着。



その2に続く

1日目へ





0 件のコメント:

コメントを投稿