福島B八合目付近からの木曽駒ヶ岳。鞍部に玉乃窪小屋が建っている。
福島Bを登り、千畳敷へ降りる一泊二日。
昨年は桂小場から登り上松Aを下ったが、終始ガスがかかっていて木曽駒がどんなところか良く分からなかったので、福島Bから再訪してみることにした。
二日目は、最初伊那前岳とうどんや峠経由で下ろうと思っていたけど、残雪状況の確認のために千畳敷のブログを読んでいたら、花が見頃で、かつコバイケイソウの花が何年に一度の当たり年という記事が目につき心変わり。
考えてみたら朝一でロープウェイが着く前に降りれば混雑に巻き込まれず千畳敷を歩けることに気づき、自分が訪れることは一生ないだろうと思っていた千畳敷へ行ってみることにした。
ロープウェイを別にすれば、どのコースから登っても木曽駒ヶ岳まではある程度の時間がかかる。
山と高原地図の頂上までの各コースタイムは、
桂小場 6時間45分 登山口標高 1,280m
福島A 8時間10分 登山口標高 1,220m
福島B(コガラ登山口) 7時間10分 登山口標高 1,360m
上松A 巻道 7時間・木曽前岳経由 7時間20分 登山口標高 1,070m
上松B 8時間20分 登山口標高 1,180m
となっていて桂小場から登るのが一番短いように書かれているが、今回登った福島Bの方が、事前に標高差と地形図を見て予想した通り、去年歩いた桂小場より30分ほど早く山頂へ着くことができた。
福島Bの方が距離が短い分急登が多いので、それがコースタイムに反映されてるのかな?
ただ、歩いていて楽しかったのは桂小場からの道の方で、福島Bは(麦草岳を登るなら別だけど)9合目の玉ノ窪小屋に上がるまで展望が開けないのに対し、桂小場からの道は西駒山荘あたりからずっと稜線歩きなので、晴れていれば申し分の無い展望が楽しめる(と思う)。
前回ガスだったし、濃ヶ池経由の道が未踏なので、またあっちは歩いてみたいと思うけど、福島Bは麦草岳に登ろうという気が起きない限りもう来ることはないかな。
また、前回登った桂木場コースは新田次郎の聖職の碑の舞台で、下った上松Aは遺構の多い信仰の道だったが、福島Bは特にそういうものはない。整備は行き届いていて迷うところはないが、麦草岳を登るならまた話は変わるんだろう。
コガラ登山口 8:31
力水 (4合半) 9:54 - 10:14
七合目避難小屋 11:55
玉ノ窪小屋 14:14
木曽駒ヶ岳 14:41 - 14:51
頂上山荘 15:03
最大標高差 1618.4m 累積標高 登り 1617m 下り 97.6m 登降含む距離 9.936km
ちなみに去年の桂木場は、
最大標高差 1692.1m 累積標高 登り 1942m 下り 357.4m 登降含む距離 15.882km
福島Bがほぼ登り一辺倒なのに対し、桂木場コースは多少アップダウンがあるがまあそれほどでもない。急登も少なく全体的に緩やかだった印象が残っている。
福島Bは、林道終点から七合目避難小屋手前くらいまでの間、特に四合目と五合目辺りが結構急できつかった。ざっと言うと、ゆる登り → 急登 → トラバースの平坦からゆる登り → 急登 という流れ。
去年と同じように前夜松本駅入りして駅寝し、始発で木曽福島駅へ。
いつも寝床にしていた松本駅構内東端のスペースは音楽をかけて踊っている人達に占領されていたので、東西通路の少し奥まったところに寝床を定めたが、休日前とあって騒がしい酔客が多く、おまけに終電後、構内での始発待ちはできませんので退去してください、というような内容のアナウンスが大音量で何度も流れ、なかなか寝付けなかった。
去年も音楽をかけて踊っている人たちはいたが、その時は二人だけで、音も大きくなかった。数えてはないが今年は人数が増えて音量も大きくなっていたように思うので、アナウンスはそのせいじゃないだろうか。去年までそんなアナウンスが流れていた記憶がない。
もう駅寝はやめるべきかもしれない、漫画喫茶にしようか? あっでも翌日が平日なら大丈夫かも、などぼんやり考えてるうちに無事寝入ることができた。
翌朝は周りの人たちの起き出す音で予定より早く目が覚め、コンビニに行ったり松屋で朝食を食べたりしても時間が余ったので、外の椅子に座って持参していた文庫本を読んで時間を潰し、6:26の始発へ乗り込んだ。
いると思っていたタクシー乗場にタクシーがいない。そこに書かれていた番号に電話すると、少し待っててくれと言われた。
売店でポカリを買って、タクシー乗場の前でじっと10分ほど待ったあたりでタクシーが到着。福島Bのコガラ登山口までお願いしますと地図を示しながら言うと、あぁスキー場だなとつぶやいて走り出した。
なるほどスキー場に登山口があるのか。でも今の地図に記載はないので、スキー場跡地ということだろう。
登山口到着。車が10台くらい停まっている。思っていたよりここから登る人は多いのかも。
打ち捨てられた建物の周りには、見たことがないくらいたくさんのツバメが飛び交っていた。
身支度をして、8:31 出発。
この先ちょっと行ったところで左へ茶臼山方面への道を分ける。茶臼山コースに入ってすぐの正沢川には橋がないので川を渡ることになりますと注意書きがあった。
しばらく林道歩き。
林道終点
すぐに渡渉がある。この日も非防水のローカット靴だったが、まだ歩き始めだしすぐ乾くだろうと思いそのままジャブジャブ渡った。でも濡らすと臭くなるんだよなぁと後で少し後悔。
蒸し暑い斜面を登っていく。
斜面につけられた急登を登り詰め尾根に乗った。でもまだこれは支尾根で、麦草岳から派生する太い尾根へ乗るには、あと標高差で250mほど登らないといけない。ここには四合目の標識あり。
急登が続く。
頂上までに水場は二箇所あり、最初の水場は四合目と五合目の間で、まあ近いので水は1.2リットルほどしか持ってこなかった。
標識を見落とさないよう気をつけよう。
右上から水音がしだし、おっと思ってたら力水(4合半)と書かれた標識のある水場到着。これなら見落としようがない。
少し細いが水はしっかり出ている。ここで補給して手持ちは確か2リットルになった。しばらく休んで10:14 出発。
五合目を通過。
六合目を過ぎるくらいまで結構登り一辺倒で、地形図を何度も見ながら、早くなだらかになれと思いながら黙々と登っていった。
避難小屋だ。
近づくとワイワイ声が中から聞こえてきたので覗かず通過。
避難小屋のすぐ上に福島Aの分岐があった。ベンチがあるがさっき六合目で休んでいたので腰は降ろさず、麦草岳斜面の巻道に入る。
12:01 巻道に入ってすぐ木曽駒が見えた。まだ遠いな。
斜面の道は湿気が多く、草木が密生している。花も目につくようになってきた。
岩がゴツゴツ重なり合ったところに出た。岩小屋の庇のようになっている大岩に山姥(7合半)のプレートが取り付けられていて、その下には水を通すパイプなどの資材が置かれている。たぶん七合目避難小屋に水を通すための資材だと思う。山姥の名前の由来は不明だけど、この岩の下に山姥が住んでたとかのたぐいかな。
長く感じたトラバースもやっと終わり、ここから沢状地形の中を鞍部へ向け登り詰めていく。
14:14 玉ノ窪小屋。
僕は乾山講に関係はないけれど、一応手を合わせ、ここまでの無事の感謝を伝える。
去年は白地に黒抜きのノボリがいくつもはためいていたがこの時はなかった。まだ講の人は登ってきてないのかもしれない。
ひばりちゃん二羽が登山道をぴょこぴょこしていたが、カメラを構えたおっさん(俺)が迫ってきたので遠ざかっていってしまった。下にいるのが上のやつを見てるのが可愛い。
14:41 木曽駒ヶ岳到着。福島Bでは一人しか会わなかったが(玉乃窪山荘手前の登りでグロッキーだった30代くらいの男性。15歩おきぐらいに立ち止まっていた)、やはり山頂は人で溢れている。
でもここの山頂は広々してるので窮屈な感じはない。
さあテン場へ下ろう。今日は宝剣岳もちゃんと見えている。でも去年ガスの向こうにかすかに浮かび上がった姿の方がカッコよかった。
この後小屋でテントの受付をしたが、もう張れないんじゃないかなと小屋の親父が言った通り、登山道の端に張ることになった。
他の山域だと、どこから来て翌日どこへ行くかを用紙に記入させられるけれど、ここはそういうのがなくてちょっとゆるい雰囲気がある。去年上松Aの巻道の状態を聞いた時も、さぁ……? って感じだった。対応には全くトゲトゲしたとこはなく素朴なおじさんという印象。
ロープウェイで気軽に来れるからだろうがテント場も何となくゆるい雰囲気があり、ちょっと気になったのが、ロープで区切られた立入禁止と思われる区間に、写真撮影や、遠回りを嫌う人がショートカットでバンバン入っていたこと。
これもほとんど毎度のことなので、おとなしく考え事をしたりして眠くなるのを待った。
2日目へ
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