2016年6月15日水曜日

2016.6上旬 杣添尾根→県界尾根




自分の中におばさん、あるいはお姉さんがいるのに気付いたのは3年前の7月に杣添尾根を登った時だ。
それまで花には興味が無かったのに、雨に濡れて咲き誇る小さいたくさんの花に身の内から感激が沸き起こってきて、はたから見たらおじさんが無表情に歩いているだけなのだが心の中では、かわいい〜、可憐過ぎる〜と女性の声が大はしゃぎしていたのだった。

でも女心というのは熱しやすく冷めやすいものなのか、それから特に花への興味が深まることも無かったが、ツクモグサという花が今見頃で、6月過ぎるともう見れなくなるとネットで見かけた途端、久しぶりにおばさんあるいはお姉さんがムクムクと起き上がってきたため今回の山行となった。今しか見れないというのがミソだ。
ただ残念だったのは、ツクモグサがどんな花か知らないまま行ったので結構見逃してしまったのと、曇っていたので花が開いてなかったことだ。

稜線で一番多く見かけたのはオヤマノエンドウで、あとはチョウノスケソウやイワヒゲ。この辺の名前は一切知らなかったが帰宅後写真と照らし合わせて調べた。
他にも名前を知らない黄色や白の花が咲いていたので今後名前を覚えていきたい。


杣添尾根は最短で横岳の稜線に立てる貴重な道だが、単調な道でもあって、道中目安となる所があまり無い。
昭文社の地図には目安点として枯木帯と書かれているが、この枯木帯は結構広く、終わったと思ったらまた出てきたりするので混乱する。No.4標識を目安点としてもいいんじゃないだろうか?
6月だと残雪が心配だったが、上部の尾根を北側に巻くところで見かけたものの道自体には全く無かった。稜線と県界尾根は全く雪は無し。

野辺山駅から杣添尾根登山口まではタクシーを使った。だいたい4千円前後。
駅前に常駐していた地元のタクシーは今年3月末で廃業してしまい、今は駅前のタクシー乗り場に書いてある番号に電話して高根タクシーに来てもらわないとといけない。清里から来るので10分くらいかかる。
ただ、運転手さんの話しだとこの辺りの営業権を買った人がいて今申請中なので、もう少ししたら前と同じように駅前に常駐するようになるんじゃないかとのこと。

帰りはハイランドパークバス停から清里駅までピクニックバスに乗った。運賃は300円。
この日は16:32発が最終だったが、曜日や季節によって運行形態が変わる。


登山口9:01−No.4標識10:47−11:49三叉峰12:19−地蔵の頭12:53−13:32赤岳南峰13:36−大天狗14:26−小天狗15:10−16:19清里ハイランドパークバス停


小淵沢で小海線に乗り換えると登山者と思われる人が5、6人ほど乗ってきたが、これまで10回近くこの時間のこの電車に乗った中で一番多い。一人ということも珍しくないのにどうしたんだろう? さてはみんなツクモグサ狙いか? タクシーは1台しかなかったはずだから最初に乗れないと登り始めが遅くなってしまう。でも相乗りできればタクシー代は安く済むな・・・
なんて思っていたが野辺山で降りたのは僕一人だった。

タクシーを待ちながら今日歩く杣添尾根と県界尾根を眺める。
しかしあの荒々しい斜面によく道を開いたもんだ。最初に登った人はすごいな。
その辺の歴史とか詳しく知りたいんだけどネットで調べてもあまり手がかりが得られない。西側の情報は割と見つかるんだけど。


杣添尾根登山口には15台分の駐車スペースがあって、この日はあふれた車が路肩にたくさん駐車されていた。
周辺は別荘地で、自販機やお店は無い。登山ポストはある。
最初は遊歩道も兼ねた道で、標識に従って別荘地の中を抜けていく。

東屋の所から表記に従って山道に入っていくとだんだんと傾斜がきつくなって、あとは一本調子の登りが続く。


2400m辺りで枯木が目につくようになり、そこから3分くらい歩くとNo.4と書かれた古びた黄色い標識が置いてある小さい平坦地がある。
3年前はこの標識も木に掛かっていたが落ちてしまったようだ。なぜか新しめの温度計も一緒に置いてあった。


2500m付近の枯木帯。
県界尾根にも真教寺尾根にも小泉登山道にも同じような標高のところに枯木帯があって、何でだろうといつも考えるんだけど、ちょうど森林限界付近なのである種類の木にとって生死がせめぎ合う地点なんじゃないだろうか。
ある程度まで生育するが例年より少し日照時間が短かったり雨が少ないなどのちょっとした環境の変化で枯れてしまうとか、一定数以上増えるか成長するかしたら途端に栄養が足りなくなるとか。


2580m辺りで尾根の北側を歩く道に入る。ちょうど森林限界に差し掛かるあたりで斜面に入ってしまうので、もうちょっと展望は我慢だ。
雪のせいだと思うがダケカンバがみんな曲がってしまっている。


巻道が終わって稜線に出ると一気に視界が広がる。富士山も見えた。

三叉峰もここで初めて拝める。
稜線まで標高差100mほど。もう一息だ。


三叉峰の分岐に着く。やはり稜線には行きかう人が多い。
三叉峰に上がって360度広がる展望を楽しみながら昼食を摂った。


以前7月頭に同じルートで登ったことがあるが、そのときよりはだいぶ花が少ない。
でも今日はツクモグサ目当てだからツクモグサが見れればいいのだ。


名を知らぬ可憐な白い花。緑と黄緑と白の配置が絶妙だ。


道行く人にツクモグサのことを尋ねるが、最初はツクモグサの名前が出てこなくて、あの~今が見頃の何とかくさって分かりますか? なんて妙な調子で声をかけていた。
2人目でツクモグサですよね、この先にありますよと返事が返ってきて、4人目であーあそこに咲いてますよと指す方に、
じゃ~ん、やっと会えた。 かわいいなー。
曇りだから花が閉じているそうだ。残念だけどまた晴れた時に来ればいい。

先にたくさん生えているところがあり、立ち入り禁止のロープを超えて写真を撮っている爺さんに、入らないでくださいと監視員が何度も声をかけていた。でも爺さんは無視してニヤニヤしながら写真を撮り続けている。
うわぁタチ悪いな~と思って見てたら、今度は別の爺さんがロープを超えて入っていく。
僕がここにいた1分くらいの間にこれだから監視員も大変だ。ストレスかかるだろうなぁ。
言ってわかる人なら声のかけがいもあるが確信犯の爺さんなんて希望が無いもんな。




オヤマノエンドウ


チョウノスケソウ


キバナシャクナゲ 終わりかけなのかこれからなのか不明


イワヒゲ 可愛いね


地蔵の頭を過ぎる。


イワウメ? これもかわいいな。葉っぱもかわいい。


赤岳展望荘を過ぎ、急な登りが始まる辺りで花は終わり。


赤岳への登りは急だけどジグザグ道なのでそれほどきつくはない。
でも途中で内腿が2回攣ってしまった。最初左脚で次に右脚。
元々脚が攣りやすく、足裏やふくらはぎは良く攣るけど内腿はなかなか無い。
ここまで水分を500mlくらいしか摂っていなかったから少なすぎたんだろうな。少ないとは思っていたんだけどなんとなくそのまま歩いてしまった。6月に入って気温が上がってきてるから意識してもっと飲まないと。

漢方薬局店で勧められたイスクラ独歩顆粒という薬を持ち歩いていたので初めて飲んでみた。
2年前くらいに買って放置してあったやつで、賞味期限の記載が無いけど大丈夫かな?


頂上山荘前の北峰に着く。ここは三度目だけど黒い溶岩みたいな岩が半分ゴロゴロしているのに初めて気づいた。

特に南峰まで行く理由も無いし、脚になるべく負担を掛けたくないのでここから降りることにした。


県界尾根に入っていく。下の緑がいい感じだ。

最初から鎖場が連続していくがこの辺はそんなに斜度は無く、中盤から後半の方が厳しい。

前を行く若い男性が斜面に体をくっつけて鎖にしがみつきながらいかにも慣れていない感じで降りていく。顔が必死だ。
体を斜面にくっつけていると足裏の押す力が下に行ってしまって滑りやすくなるし、石も落としやすくなる。
またなんでこの尾根を下ろうと思ったんだろう? チャレンジしてみたくなったんだろうか?


左に登ってきた杣添尾根が見えていた。


県界尾根の枯木帯。


大天狗の標識の裏に上るとこんな像が置いてある。
首が取れてしまってるがどんな顔が付いていたのか気になる。近くに転がってないかな。


2280m付近。ダケカンバの新緑って初めて見たかも。


この大岩には字が彫ってあり、光、山、演などところどころ読み取れるが判読できない。
ここに彫ってある字は下りだと正面に見えるので気がつくが登りだと気づかない。



小天狗分岐まであと5分のところにある平坦地。
この辺りには2、3箇所平坦地があるが、一番眺めがいいところだ。


展望地からすぐ先の平坦地にある石碑。
さっき大天狗にあった修験道の木札がここにもあった。昨年9月に登ったらしい。一度出くわしてみたいもんだ。


小天狗分岐を過ぎると荒っぽい急な下り道になる。
2000m付近はこの針葉樹の新緑が綺麗だった。これはカラマツだっけ?


林道に降り立った後も瑞々しい新緑が楽しめた。標高は1800mぐらい。やっぱ新緑はいいな。

登山口からタクシーを呼ぼうと考えていたが、ピクニックバスの時刻をメモしてきたのを思い出したので見てみるとちょうど間に合いそうだ。


登山口を過ぎ、アスファルトの道をバス停まで歩く道沿いの木にこの花が咲いていた。何という花だろう。

曇っていたし花も少なかったので、おばさんあるいはお姉さんもくすぶり気味だった。
また7月頃に来てみようかな。





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