2017年10月7日土曜日

2017.8下旬 栂海新道を上る 親不知→猿倉2泊3日 2日目: 栂海山荘から朝日小屋



写真は黒岩平手前。昨日とはうってかわっていいところだった。また来たいな。




栂海山荘 4:29
犬ヶ岳 4:38
サワガニ山 5:58 - 6:09
黒岩山 7:24 - 7:40
黒岩平看板 8:19
アヤメ平 9:35 - 10:10
吹上のコル 11:28 - 11:43
朝日岳 12:19 - 12:22
朝日小屋 13:06

行動時間:8時間37分 歩行時間:7時間12分
最大標高差:945m 累積標高:上り 1229m・下り 630m 距離:16.769km

昭文社地図のコースタイムが昨日は11時間で、この日は10時間45分。ほぼ同じだけど昨日より全然楽だった。後でGPSで確認すると累積標高など大幅に少なくなっているのでなるほどと納得できたけれど、たくさんの池塘と水の流れ、最後は白馬と剱岳が姿を現すという、変化のある飽きさせないコースだったのも大きい。


3時起床。途中目を覚ますことなく寝れたのは久しぶりだ。
この日栂海山荘に泊まっていたのは僕を入れて4人。全員男性で、下り2人に上り2人。僕と同方向に進む上りのもう1人は穏やかなお坊さんのような風貌の若者だった。
ぬかるみで新しい足跡を何度も目にしていたので先行者がいるのは気づいていて、沈みそうなところではその上をなるべく歩くようにしていた。昨日は親不知観光ホテルに泊まって朝早く出てきたそうだ。


4:29 全員に挨拶をして一番先に小屋を出立。
まだ真っ暗だ。朝日が登ってくるのは犬ヶ岳を越えたあとだろう。

小屋から少し上がったところにこの碑が建っていた。一瞬小沢征爾かと思ったがもちろんそんなはずはなく、小野健さんというこの栂海新道を開いた方だ。
1932 - 2014とあるので82歳で亡くなられたということか。「栂海新道を開く」というこの方の著書を読んだことがあるが、エネルギー溢れる人だったんだなというのはビシビシ伝わってきた。
そういえば小澤征爾さんも82歳になったばかりのはず。こないだ見てきたが、背中が曲がっていてやはり年相応(なのかな?)ではあったけれど、指揮が始まると別人のような美しい動きを見せてくれた。


9分ほどで犬ヶ岳に到着。



地図に書いてあるとおり犬ヶ岳から先はヤセ尾根が続く。
その道端にはこの花がたくさん咲いていて、朝日が登る方へいっせいに顔を向けている様はまるでコンサート風景みたいだった。



今日は出だしからすごく気持ちいい。昨日のうちに栂海山荘まで来ておいて良かった。
標高が1700mもないから樹林帯の中を歩くんだろうと思っていたけど、樹木の背が低く、見晴らしが良い。環境が厳しいからだろう。谷川主脈の道を思い出した。


5:58 サワガニ山。
昨日シキワリの水場で3.5Lの水を汲んだきりだったので北俣ノ水場で補給するつもりでいたが、暗かったからか標識を見落としてしまった。
残りあと500mlほど。さいわいきつい道でもないし気温もまだ低い。


黒岩平ってあのモコモコした辺りだよなぁ。三俣蓮華岳の北東面に似ている。
名前から平坦地なのかと思っていたがずっと登りが続くようだ。


これが文子の池だったと思う。ここから朝日岳の先あたりまで数多くの水の流れと池を目にすることができる。
その代わりぬかるみや池になった道も出てくるがこれはセットだからしょうがない。昨日ほどひどくはないし、この日は防水靴下を履いてるのでそんなに神経質になることもなかった。裾は泥だらけだけど。


7:24 黒岩山到着。ここまで特にきついところはなく、穏やかな稜線歩きだった。
朝食の残りのアルファ米を食べていると、栂海小屋で一緒だった若者が追い抜いていった。
この後もところどころで、この見習い中の修行僧といった感じの若者と一緒になった。お互い今日は朝日小屋のテント場泊まりだ。




黒岩平の水場の標識は見当たらなかった。沢で汲めということだろう。
なるべく上の方がいいだろうと思い、いくつか流れを見送った後に補給した。


水を汲んだすぐあとに黒岩平の標識とベンチを通過。




アヤメ平の看板のところで休憩。立ち止まるととても静かなのに気づく。
アヤメは咲いていなかった。7月頃なのかな?

座ってパンを食べていると、追いついたーと大きな声がして昨日白鳥小屋で別れたおじさんが力強い足取りで上がってきた。

「この道いいねー」
「犬ヶ岳までと全然違いますよね」
「あそこはきつかったなー」

当たり前だけど、足が早いからといって楽なわけじゃないんだよなと改めて思った。誰だってきついんだ。

「あれは修行でしたよねぇ」

「……でもああいうのは必要なんだよ。人生と一緒だよ。結婚でも仕事でも一緒じゃない? やーめたって言うのは簡単だよ。でもね… 」



おじさんが出発していったあとは、また元のようにとても静かになった。ずっといたくなるような居心地の良いところだ。
しばらくそこで、やーめたと言ってしまった幾つかのこととその結果をぼんやり考えていた。


長栂山の稜線を乗越すと明日歩く白馬岳が初めて目に入ってくる。
帰宅後他の人の記録を見て知ったが、長栂山の山頂にも行けるようだ。この時は全然気づかなかった。


照葉ノ池のあたり。池の上を木橋で渡っていく。
ここ良かったな。


11:28 吹上のコル到着。
ここは蓮華温泉への分岐点なのでちょっとだけにぎやかになった。といっても1人か2人だったのが3~4人になった程度だけど。
あまり早く小屋に着いてもしょうがないのと、日差しが強くてバテてもいたので再度ここでゆっくりと休憩を取った。


朝日岳への途中の雪渓で水を補給し喉を潤す。キリッと冷えた水が、暑さでヘロヘロの体に染み込んでいく。


草むらから雷鳥らしきグェーって声が聞こえたけど姿は見れず。


12:19 朝日岳。
これを書いてる最中に朝日小屋のHPを見ていたら、このときの標柱は9月にテカテカの新しいのに建て替えられたそうだ。


小屋への道を下る。正面に剱岳。

左に白馬岳。長野側から見るより穏やかな様相だ。

日本海が見える。手前の平野は朝日町になるのかな?

と、眺めが良くていいんだけど、土壌が流れて木段が浮いているところが多く、段差も大きくて歩きづらい道だった。足にこたえる。
それに直射日光にずっと照らされていたのも効いていて、早く着かないかなーと思っていた。


13:06 朝日小屋到着。
ザックを降ろし受付へ向かう。僕の前で受付をしている人が予約なしで来たことを咎められている。理詰めで諭していて結構長かった。「途中の〜で電話はできたはずですよね? 」「はい…」なんて感じで。
僕の番が来て、夕食を食べたいんですがと伝えると、苦笑いのあとに、今日は空いているから大丈夫だけど次からは予約してくださいと言われた。はい。

この日のテント場は結局この日7張か8張くらいでのんびりとしたもんだった。周囲にはたくさんの小さい花が咲いていてなかなかいいとこだ。
手持ち無沙汰でぼんやりしていると、同じコースを歩いてきた見習い修行僧が水場で沐浴中なのが見えた。朝の様子を見ても思ったが綺麗好きな人っぽい。しばらくしてから話しかけてみると、目的地は上高地で、食料12食分が入ったザックは25kgだという。25kgであの道はきつかっただろうに…。

その後もおじさんたちと話したりしてるうちに夕食の時間になった。
夕食はグループごとに分けられ、単独の人は一つのテーブルにまとめられるのだが圧倒的に単独の人が多い。
覚えているメニューは、グラス赤ワイン、ご飯、汁物、サラダ的なもの、鶏の甘酢あんかけ、ホタルイカの沖漬け、昆布〆刺身、汁が体に染み込んでいったおでん、デザートに銘菓栂海新道というお菓子。
地元の料理、食材なのが嬉しい。おでんの汁はほんのり甘く、初めて食べる味だったがとても美味しかった。


食事を終えた後少し散策。
白馬岳はガスに覆われていて見えないので、木段を歩いて夕日の落ちる方へ行ってみた。

周辺は花が多い。こんなにすごいとは思わなかった。育ててるのかな?
ちょっと時期が遅かったのが残念。



いつかこっちの朝日町側から登ってみたいもんだ。

犬ヶ岳も見えた。自分で登ってなかったらまず犬ヶ岳って分からなかっただろう。

いいとこだな


もともと明日は頂上宿舎に泊まって、4日目に猿倉へ下る3泊4日で計画していたが、それだと帰った翌日仕事なので、明日一気に猿倉まで下ることにした。そうすれば1日家で体を休めることができる。



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