2018年9月5日水曜日

2018.07中旬 福島B〜木曽駒ヶ岳〜千畳敷 2日目: 頂上山荘 - 千畳敷








二日目
テント場 3:55
宝剣岳分岐 4:30
千畳敷駅 5:34

累積標高 登り 78.3m 下り 320.6m 登降含む距離 2.2km




登山道脇に張っていたので、すぐ脇を歩くザクザクという足音で3時少し前に目が覚めた。山頂で日の出を拝む人たちだろう。

トイレで小便をし、歯磨きを済ませて撤収にかかる。撤収後コーヒーを飲んで4時前に出発。

木曽駒山頂へ向かう小屋泊まりの人たちとすれ違いながら、中岳へゆっくり登っていく。


賽銭箱が異質の存在感を放つ中岳山頂。

岩の積み重なった細長い山頂でしばらく夜明け前の景色を眺める。他にも数人、朝陽を待つ影が行き来するのが見えた。

一心に地平線を見つめている人たち越しの朝焼けが撮りたくなり、シャッターを押す。が、カメラが全く反応しない。はっと思い当たったのは昨日夕方の豪雨だ。いろいろといじってみたがしまいには電源も入らなくなってしまった......(泣)。

まったく自分の不注意だからしょうがない。その後はほとんどスマホで撮影。




宝剣岳の手前に見える二つの強い灯りが宝剣山荘と天狗荘。
日の出を迎えようとする人達が稜線上や小屋の前にたくさん待機している。誰もが同じ方向を見ながら。



あっという間に千畳敷への分岐に到着。
あまりにあっけなさ過ぎて物足りず、やっぱり伊那前岳経由で降りようかと思ったが、ちょっとしか水を持ってないし今を逃すとこの花の時期の千畳敷に来ることはないかもしれないので、予定通り進むことにする。
でも名残惜しく、しばらくここで景色を眺めた。




さあ降りよう。



何度も途中立ち止まって景色を眺める。






分岐から剣ヶ池へ向かう。




コバイケイソウ




最後少し登ってロープウェイの駅に到着。5:34。
切符を買いに行くと売場の人から、次の6時の便で降りられてはどうでしょう? そうすれば6時20発の始発バスにちょうどいいですし、今降りても下で待つだけですよ、せっかくだから上で散策していってはいかがですか? と言われなるほどと思い、また外に出てしばらく周りの景色を見ていた。親切な人だったな。

発車5分前くらいに乗り場に行くと4人ほどが並んでいた。小屋泊まりらしき人、大きいザックにサンダルをくくりつけた人。

さらば千畳敷。また来ることはあるのか?


こっちはは6人くらいでガラガラだが、すれ違う上りの箱は当然ながらぎゅうぎゅうだ。
切符売場の人も言っていたが、天気もいいし千畳敷は相当混むだろう。

ここの地形はとても急峻で、よくこんなところにロープウェイを通したもんだと感心した。メンテナンスも大変だと思う。
眼下にはいくつもの滝が落ちる険しい沢が見え、水の色がはっとするほど美しかった。


しらび平駅に降り立つ。待ちかねた大勢の人達が入れ替わりに乗り込んでいく。

6時過ぎなのにすでに日差しが燦々と照りつけていて、バス停横のベンチに座っていると日焼け止めを塗っていない顔が焼かれる。ささっと日陰に逃げ込んだ。

定刻通り6時20分にバスは出発し、沢沿いの道をくねくねと、登ってくるバスやタクシーをところどころで待って交わしながら下っていく。すれ違ういくつもの車はみな満員だ。
いつもなら抗いがたい眠りの力に引きずり込まれるところだけど、途中下車して温泉に寄らなきゃいけないので寝ないよう頑張った。

駒ヶ根橋で下車。降りたのは僕一人。
事前の調べで、7時から入浴可と記載のあった温泉へ向かうため、川沿いの遊歩道を歩く。

木曽駒ヶ岳から流れ出ているこの川を挟み、僕が歩いている方が宮田村で対岸が駒ヶ根市になる。
駒ヶ根側は、菅の台バスセンターやスキー場や大きい公園やらがあり、駒ヶ根高原と銘打って華やかな様子だが、こちら側はホテルが一軒と旅館が一軒だけで静かだ。

宮田村を地図で見ると、伊那市と駒ケ根市に挟まれた本当に小さい村で、面積の3/4ほどは木曽駒ヶ岳が占めている。
よく合併しないで生き残っているなと思って軽くネットで調べたら、1954年に周辺町村と合併して駒ケ根市が発足したが、住民による強力な合併反対運動が続いたため、2年後の1956年に分離し宮田村として独立したとある。住民投票では約88%が合併反対に投じたという。

自分たちは今のままでいいんだ! という強い意識が大部分の住民にあったんだろうが、金が採れるとか石油が出るとかならわかるけど、なぜそこまで強く反対したのかはよくわからない。独立独歩の気概があるのかもしれないし閉鎖的なのかもしれない。今住民投票をすればどういう結果が出るんだろう?

ただ、当時周辺町村で合併して市を作るには、宮田村(当時は宮田町)が加わることが不可欠で、法律上一旦市になればその後市としての要件を満たしていなくても町に戻ることはない(自らが望めば戻れるが実行した例は他にない)ので、市になりたい人たちと、独立したい宮田村の人たちと、どちらの思惑もとおり、結果的には丸く収まったということになる。

川を挟んだあちらとこちらで対照的に見えたので余計な心配をしたが、そう簡単に測ることはできないということか。
まあ実際に駒ヶ岳があるのは宮田村の方なので、その恩恵がどれほどのものかは分からないけれど、けして小さくないとは思われる。


7時こまゆき荘に到着。だが玄関に入浴時間は8時からに変更になりましたと張り紙が! がーん、あと1時間待ちかよ…。なんか薄々嫌な予感はしていたのだが。

念のためフロントでも聞いてみたが、やはり8時からじゃないと入れないと言う。
しょうがないので川沿いの遊歩道に置かれたベンチに腰掛け、文庫本を読んで待った。

8時ちょうどに受付に行き、520円払ってチケットを買い男湯へ向かう。
中に入ると7時にフロントにいたおじさんが湯船に浸かっていた。勤務日はこうして一番風呂に入ってから帰るんだろう。
ただここの湯は僕にはめっぽう熱く、長居はできなかった。途中で一人入ってきたがその人もすぐ上がっていった。



温泉を出て、遊歩道を駒ヶ根橋バス停まで戻り、数分待って来た9:19 発のバスに乗り込む。

ふたつ先の菅の台バスセンターで半数以上が降車すると、車内ががらんと静かになった。
これから千畳敷を目指すバス待ちの列は、この暑さの中終わりが見えないほど長く伸びていて、人の執念とでもいうようなものを感じたが、バスもかなり増便されているのでそこまで待つ必要もないのかもしれない。

この後は駒ヶ根駅のふたつ手前のバス停(たしかすずらん通りバス停)で降り、切符を買って駒ヶ根バスターミナルから新宿行きのバスに乗った。
最初は窓から見える中央アルプスと南アルプスの山座同定にいそしんだが、伊那を過ぎた辺りで眠りに落ちた後は、初台までぐっすりだった。


一日目へ



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