2016年9月19日月曜日

2016.8中旬 折立から黒部ダムへ3泊4日 3日目: 読売新道を下る




 読売新道へ




3:29 三俣山荘
4:42 − 4:46 鷲羽岳
6:21 − 6:27 水晶小屋
6:59 − 7:06 水晶岳
7:53 − 8:04 温泉沢ノ頭
9:40 − 10:21 赤牛岳
13:52 奥黒部ヒュッテ

行動時間:10時間42分 歩行時間:9時間6分


2時起床。
昨日の夕方から湧いてきていたガスが、今はさらに厚みを増して周りを覆っている。雨は降っていないが風が少しあるので半袖の上にウインドブレーカーを着た。
薬師峠でもそうだったがツェルト内側の壁は結露でびっしょりだ。7月の北八ツで結露しなかったのは奇跡だったんだろうか。

今回の山行で一番不安だったのは、4日目の、ハシゴが連続するという平ノ渡しまでの道を未明の暗い時間に歩けるかということで、二番目が読売新道を無事歩き通せるかだった。
途中怪我したらどうしよう? 水はもつだろうか? 
前夜はまた不安になってしまったが、水4Lあればビバークになっても対応できるはずだしコースタイム通りに進んだとしても16時には着くんだから、と改めておさらいを済ませたら後はもう考えないことにした。


鷲羽へ取り付いている人の灯りが上の方に見える。
ガスの中ザレた斜面をできるだけゆっくり登っていく。風の音に混じる、じゃりっ、じゃりっという自分の足音が不思議に心強く感じる。
だんだん空が赤くなってきて足を速めたくなるが、今日の第一の目的は無事に歩き通すことだと自分に言い聞かせながらペースを変えないように努めた。

いつの間にか雲の上に出ていた。小屋もテン場も真っ白な雲海の下だ。三俣蓮華岳の頭がほんの少し出ているのが見える。


4:42 鷲羽岳山頂。
すでに5人程が山頂にいて、みんな単独なのかそれぞれが静かに景色を眺めていたのが印象的だった。

奥にちょっと頭が見えてるのが黒部五郎岳で左が三俣蓮華岳。さっきまでいたテン場は厚い雲の下だ。

右奥が薬師岳。手前は祖父岳で、山頂に大勢人がいるのが見えた。
しかし雲がすごい。ドライアイスみたい。

野口五郎岳方面。


鷲羽岳を下っていくと花が出てきた。
今回はあまり見れてなかったから嬉しかった。




ワリモ岳の辺りで完全に日が昇りきった。
腹が減っていたのでワリモ岳直下を過ぎた辺りで朝食を摂りつつ長めの休憩。しばらく景色を楽しんだ。

ドライアイスがあっという間に無くなっている。半透明の雲の上に顔を出した薬師岳が湯船に浸かってるみたいだ。


朝の光っていいなぁ。

ほんとに来て良かったと思う。気分爽快だ。体の底から嬉しさが湧き上がってくる。


ワリモ北分岐を過ぎ、チングルマが目立つなだらかな道に入ると一気に人通りが多くなった。


花の多い短い急登を登り切り、6:21 水晶小屋着。
小屋の前ではこれから出発するらしい人達が準備体操したり記念撮影したり大賑わいだ。

去年歩いた裏銀座の稜線。
今度この辺りに来るのは何時になるだろうと思っていたが、今年も来ることになるとは思わなかった。

小屋で菓子パンを二つ購入。あんパンとメープルパン。
無性にあんパンが食べたかったのでその場で貪り食った。
僕の泊まり山行はだいたい睡眠が少なく、去年の裏銀座は毎日2~3時間しか寝れなかったし、3年前に3泊4日でこの辺りを歩いた時もそんなもんだったが特に支障も無かった。
でも今回は毎日6~7時間は寝れているし、腹もよく減る。


小屋の横を登って稜線に出るとしばらくなだらかな道だ。
水晶岳で夜明けを迎えた人達なのか、すれ違う人も多かった。

サザエさんみたいな餃子みたいな水晶岳。


3年ぶりの水晶だ。あの時は10月に入ったばかりで、この道も山頂も僕ともう一人だけだった。
次は緑の映える時に来たいと思っていたのに、いざ来てみたらあのガランとした風景が無性に恋しい。次はまた人が少ない時期に来よう。


しばらくなだらかに進んだ後、山の西側の岩だらけの道を行くようになる。
ハシゴも出てくるが特に難しいところはない。

6:59 水晶岳 岩だらけの狭い山頂だが、思い思いに10人から20人くらいの人が休んでいた。
僕はここからの眺めが大好きだ。

そして赤牛。
今は不安なんて微塵も無く、ただワクワクする気持ちだけになっていた。
日の光や天候が気持ちに与える影響って大きいとよく思うが、昨日の不安も今の高揚感も天気に連動しているだけなのかもしれない。


水晶から赤牛へ、ザレた斜面を降りていく。
滑りやすいので慎重に。



西側の斜面(薬師岳側)はガレとザレで荒涼としてるが、東側(野口五郎岳側)は今回歩いた4日間で一番のお花畑だった。気持ちが安らぐ。


コブで数人休憩してるのが見える。あそこが温泉沢ノ頭だろう。


7:53 温泉沢ノ頭着。
5人程が休んでいた。高天原から上がってきた人達かな。

さあ赤牛へ向かうぞ。
これから歩く方向に5〜6人くらい見えた。結構いるなぁ。まあ水晶や鷲羽に比べたらかなり少ないんだけど。


ハアハア


赤牛が間近に迫ってきた。でかいなー。


西側から回り込んで
9:40 赤牛岳に着いた。やった−! 爽快な気分。嬉しい。

薬師岳のカールが良く見える。

反対側には烏帽子岳と烏帽子小屋も見えた。
右端に青い屋根の烏帽子小屋があって真ん中右が烏帽子岳。
奥に立派な山が見えていて針ノ木岳や蓮華岳あたりなんだと思うがあっちは行ったことがないのでよく分からない。

山頂は思ってたより人が多く、入れ替わり立ち替わり10人くらいはいたと思う。
見てると半数以上は読売新道へ下っていく。意外にいるんだなぁ。



さあ読売新道だ。
赤牛岳から奥黒部ヒュッテまでを8分割して標識が設置してある。7/8は見逃してしまった。
山と高原地図に2/8とあるのは実際は3/8。
4/8を過ぎると樹林帯になり岩と太い木の根で段差が大きい箇所が続く。膝痛を発症したため特に4~3の区間はきつかった。3〜2もちょこちょこ段差が大きいところがあり、1以降は歩きやすくなった。


さあ行くぞ、とこの時は気分爽快だったんだけど。


ザレとガレで気を使うのは相変わらずだけど、眺めも良くてここまでは気持ち良く歩けていた。でもこの辺りから膝が痛み出してきた。
最初は右膝の痛みだった。しばらくして痛みが取れたなと思ってたら今度は左膝に来た。
段差のある岩歩きとザレの急下降がずっと続いていたので効いてきたんだと思う。岩が大きいところではガシガシ行かずに歩幅を狭くしてじっくり歩くべきだったと思ったが後の祭りだ。


4/8標識の辺り。
ここから樹林帯に入っていく。


膝が痛い・・・


こんな具合に木の根が張り出したところが多い。
山仕事などで開かれた道と違って無理やり切り開いていった感をビシビシ感じる。ほんと新道だなと思った。

3/8で小休憩。
長い下りでも歩きやすければなんてこと無かったんだろうけど、樹林帯でも岩と木の根の段差に追い打ちをかけられっぱなしだった。膝の休まる暇が無い。


3/8を過ぎても膝に厳しい箇所はあったがさっきまでよりは減ってきた。
沢音が聞こえ始めてきてたがまだ先は長いはずだ。久しぶりに樹間から景色が見えた。黒部川が近づいてはいるが、、、あーまだ標高差300mはあるな。あと40分から1時間ぐらいか?


1/8を過ぎるとやっと歩きやすい道になった。

水が綺麗だなぁ。もう少しだ。


13:52 奥黒部ヒュッテ。 やっと着いた・・・

なんてのどかなテン場なんだろう。この日は20張ぐらいだったかな? 100は楽に張れそうな広さだけど満杯になることは無いんだろうなぁ。
ビールを飲みながら文庫本を読んで時間を潰す。J・アーヴィングのホテル・ニューハンプシャー。あっさりと悲惨な事が起こっていき悲しくなるが物語はずいずいと進んで行く。

そうだ明るいうちに明日歩く道を見とこう。



明日はこの橋を渡るんだな。
渡し船の始発が6:20。コースタイムは2時間だが余裕を持って3時半に出ようと思っていた。真っ暗な中で不安だけど一般道だし普通に行けば問題ないだろう。やばそうなところがあったら明るくなるのを待とう。

水の消費量は、赤牛岳までで1200ml、赤牛からテン場までで1600mlの計2800ml程だった。だいたい予想どおりだ。
読売新道は水晶岳以降の岩とザレで疲労した脚にはかなりきつかった。ここは登りに使ったほうがいいんじゃないだろうかと思ったが、それもきついか。。。


4日目:黒部ダムへ

2日目:黒部五郎岳へ

1日目:薬師岳へ

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